「少し罰が必要なようだな?」
 レオパルドはシャルルの前に立ち、その頭に手を乗せた。シャルルの髪を梳くようにそっと指を絡ませる。
「口を開けろ。咥えて舌を使うんだ」
 そう命じたとき、髪を掴んだレオパルドの手にぐっと力が込められた。シャルルの唇に触れたレオパルド自身もまた、硬さを増して頭をもたげ始めている。
「厭だ……」
 ようやく搾り出したその言葉とは裏腹に、シャルルの唇は震えていた。
 城に連れてこられたあの日と、同じだ。口いっぱいにレオパルドの昂ぶりを頬張り、喉の奥を衝かれる感触。呼吸を塞ぐその異物を吐き出したいのに、レオパルドの手でしっかりと押さえつけられて顔を背けることができない。怒張したレオパルド自身に絡んで媚びるように震えている自分の舌の震えを止めることさえ、シャルルにはできなかった。
「厭がっている割に、上手に舌を使うじゃないか。口を犯されるのがそんなに好きか? それともこんな風に押さえ込まれて無理矢理突っ込まれることが好きなのか? これでは罰を与えるどころか、おまえを悦ばせてやっているようなものだな」
「うう……」
 否定したかったが、何も言葉にはならない。
 閉じきらない唇の端から溢れた唾液が、顎にまで滴っている。その淫らな姿を見下ろされていることが、惨めだった。堪えきれず涙が滲んでくる。
「手荒く扱われるのが厭なら、素直に私に従うことを覚えるのだな」
 レオパルドは動きを止め、その昂ぶりをシャルルの口から出した。
 だが、それで終わりではなかった。レオパルドはシャルルの頭を抑えたまま背後に回り込み、膝を付く。そして次の瞬間、シャルルはその頭を床に押し付けられて伏せの姿勢を強いられることになった。明らかな服従の姿勢だ。
「足を開いて、もっとよく見えるように腰を高く上げろ。犬のように四つん這いになって私を受け入れるんだ」
「……厭」
 シャルルはレオパルドの手を振り払おうと大きく頭を振った。
 だがその手から解放されたのはほんの一瞬だった。後ろから首を押さえ込まれる。毛足の長い敷物の延べられた床にぎりぎりと顔を押し付けられて、シャルルにはもはや抵抗することはできなかった。
「まだ逆らうのか? どうやら本当に痛い目に遭わないと分からないようだな。暴れるとこの首をへし折るぞ」
 一方の手だけで完全にシャルルをねじ伏せると、レオパルドはもう一方の手をシャルルの服にかけた。ボタンが千切れ飛ぶのも構わずに乱暴に衣服を剥ぎ取って下半身をむき出しにすると、レオパルドはいきなりその昂ぶりをシャルルに突き立てた。
「ううっ……あああっ!」
 解されてもいないその場所に強引に押し入られ、シャルルは悲鳴を上げた。
 体を斬り裂かれるような痛み。
 だがレオパルドはそんなことなどお構いなしだった。シャルルの体を激しく揺さぶり、抉るように腰を突き出して抽送を繰り返す。
「厭、もう……もう無理です」
「もっと可愛い声を出せ。私を満足させなければ、いつまでも終わらないぞ」
「厭だっ……こんなの……厭だ……」
「すぐに馴れて好きになる。口よりこっちに挿れてくれと自分から尻を振ってねだるようになるさ」
「……そんなこと……するわけ……」
 認めたくない。そう思っているのに、体はまったく別の反応を示していた。レオパルドの屹立した硬い部位を丸ごと呑み込んで。体の奥が熱く蠢いている。もっと強く、もっと深くまで突かれることを……堪えきれないほどに欲しがっている。
「どうかな? おまえを仕込むにはそれほど手間はかからないと思うがな」
 そのシャルルの反応を見透かしたように言って、レオパルドはシャルルの体の前に手を回した。あられもなく開かされた足のあいだにあるシャルル自身を掌で包み込む。
「あ……」
「犬のように這いつくばって後ろから突っ込まれて、こんなに硬くしている。これが証ではないのか?」
「んんっ……」
 今にも射精してしまいそうだった。
 それなのにレオパルドはただシャルルの昂ぶりを手に包んでいるだけで、何の刺激も与えてはくれない。そのもどかしさに、悲鳴を上げそうだった。
「このあいだ教えてやったろう。可愛がってほしいなら、どうしてほしいか言うんだ」
「厭……もう、赦して……」
 堪えきれずに腰がびくびくと大きく震えた。もはやシャルルには、自分の体の動きを制御することはできなかった。レオパルドの昂ぶりを咥えて舌が勝手に動いたのと同じように、刺激を求めて勝手に腰が上下する。そのたびに、背後から挿入されたレオパルドの昂ぶりが存在感を主張しているように感じられた。
「駄目だ、ちゃんとその口でどうしてほしいのか言え」
「……扱いて……扱いてください」
「ここを扱かれるだけでいいのか? 違うだろう」
「……でも……」
 また、体が大きく震えた。涙が溢れてくる。もうこれ以上抗うことなどできそうになかった。意識が白く飛んで、ただ欲望に身を任せるだけの陶酔に、あと一歩で上り詰めることができる。その誘惑に逆らえるはずなどない。
 何もかもを失ったような気がする。フェルディナントになぞらえて作られた顔も手足も乳首も。その体の内にあった、シャルルの心も。残っているのはただレオパルドに貫かれるための肉の狭間と、昂ぶっている己自身だけだ。あとは何もかもが真っ白な闇の中に消えてしまった。
 だからもう、抵抗など何の意味もない。
「もっと、奥まで挿れて……。もっと強く、突かれたい。毀れるまで……あなたに犯されながら、達したい……。陛下、こんなに苦しいのに……淫らな自分の肉体が憎いほど恥ずかしいのに……それなのに、あなたが欲しくて堪らないッ」

 

 

 

 

  

 

 

この続きは、2009年10月26日発売の
永遠とわに咲く花のように
でお読み頂けます。どうぞお楽しみに!

 

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